防    除    暦

 

年間を通じた消毒の作業予定をまとめてみた。出たら散布では間に合わない、予防が一番。

 
散布
時期








B
B

J
B







薬剤名と濃度 収穫時期に
入るもの
対象病害虫名 摘    要
1月
中旬
×       石灰硫黄合剤          20倍   カイガラムシ類
縮葉病、黒星病、炭そ病
散布むらのないようにたっぷり散布
金属類に注意、下旬にもう1回くらいやってもいい。
2
中旬
×     石灰硫黄合剤          20倍   カイガラムシ類
縮葉病、黒星病、炭そ病
散布むらのないようにたっぷり散布
金属類に注意、寒いうちにやっておく。
3月
中旬
アセロラを除くすべて スミチオン乳剤 2000倍   害虫全般、越冬したものへの対策
カミキリムシ成虫・幼虫
アセロラはこの時期は室内。
3月
下旬
アセロラを除くすべて オルトラン粒剤 1-2g/鉢   アブラムシ、ヨトウムシ、アザミウマ アセロラはこの時期は室内。
4
中旬
すべて ベンレート水和剤 3000倍   うどんこ病、黒星病、灰星病など アセロラ、ザクロ、クランベリー等は
2008年は様子をみる。
5
上旬
すべて マラソン乳剤 2000倍   アブラムシ、ハダニ、アザミウマ
モモハモグリガ、シンクイムシ
カメムシ、カイガラムシ
アセロラ、ザクロ、クランベリー等は
2008年は様子をみる。
6
中旬
× ベンレート水和剤 3000倍 サクランボ
ジューンベリー
うどんこ病、黒星病、灰星病など モモは袋かけ終了後、散布する。
× スカウトフロアブル 2000倍   アブラムシ、ハダニ
モモハモグリガ、シンクイムシ
サクランボの収穫後、散布する。
遅くなるようならサクランボだけ散布しない。
7
中旬
× × × スカウトフロアブル 2000倍 ブルーベリー、ラズベリー
レモン、モモ
アブラムシ、ハダニ
モモハモグリガ、シンクイムシ
モモの収穫後に散布
7
下旬
× × × × ベンレート水和剤 3000倍 ブルーベリー、ラズベリー
レモン、モモ
うどんこ病、黒星病、灰星病など ※ぶどう(収穫60→30日)に短縮できるため
インダーフロアブル入手のうえ、切り替えた方がいい
8 マラソン乳剤 2000倍     収穫の近いものに注意して軽く散布。
9月
下旬
× × スミチオン乳剤 2000倍 アセロラ、ブドウ アブラムシ、ヨトウムシ、アザミウマ
アメリカシロヒトリ、カメムシ
シンクイムシ、カミキリムシ成虫
ブドウ、アセロラの収穫後に散布する。
10
下旬
× × カルホス乳剤 2000倍 リンゴ、クランベリー コガネムシ幼虫、ヨトウムシ リンゴ、クランベリーの収穫後に散布
11                     ダイアジノン粒剤 1-2g/鉢     野菜向けかな、これは。
12月                     マシン油乳剤 20倍  
カイガラムシ類
 
被害状況をみて採用するか検討、たっぷり散布
 
すでに導入済み、導入を検討している薬品は下記の通りである。新規薬品はほかの草木で試し、いきなり使用しないこと。住化タケダの製品は園芸用途が主なのでわりと薬害が出にくいようだ。

他社のものは業務用が多く、効果が高いもののきついものが多い。薬害チェックでは草木3種類程度に散布を行い、7〜10日程度薬害が出ないか観察を行う。
幼木の場合、収穫は行わないので植え付け時を除き、カレンダー通り散布を行う。収穫が行えそうな場合は散布を控える。ブドウ類は薬品散布から2ヶ月前後空ける必要があり
5〜6月までにすませ7〜8月の散布は控えるべきである。アセロラ、ザクロ、クランベリー等は病害虫がつきにくいので散布は控え、マラソン・スミチオンあたりを随時散布する程度にする程度にしておく。
水溶剤は電子天秤でもないと計量がしにくいので原則使用しない。スポイトで計りやすい乳剤や液剤を使う。しかし、水溶剤の方が効果がすぐれていたり安価なものが多いので
電子天秤を手に入れたタイミングをもって再考すべきかと思う。

殺菌剤がベンレートしか採用していないので他の薬剤も検討しておく。
有機リン系の薬剤はけっこう危険らしいので、その取り扱いを注意することと、情報収集にあたること。
 
採用
検討
メーカー 薬品の名称 主要成分 毒性 系統 希釈率 残効性

使用時期 コメント
  石灰硫黄合剤 多硫化カルシウム 普通物   20倍     冬期 (1〜2月) 植え付けからまもない2008/1〜2では石灰硫黄合剤の散布はやめておこうと思う。
この薬品を使用するのはサクランボ、モモ、リンゴにとどめ、他の果樹への散布は注意した方がいい。

ブドウは支柱を立てるのでその金属部分を腐食するおそれがあるため使わない方がいい。

2007年11〜12月、石灰硫黄合剤に10倍に希釈した散布実験を行い、影響の度合いを確認する。
金属類を腐食させてしまうので支柱なんか立てているものには使えない。
テストで腐食の程度も確認する。噴霧器も総プラのものを使用する。

ガラスビーカーに100-200ml計量し、希釈率に応じた水とよく混ぜる。展着剤を使用した方がよい。
散布にあたっては特に風のない日を選び、非散布域と2m以上の間隔を開けようと思う。
散布のときだけ鉢を移動してもよい。
使用後はよく洗う必要がある。酢を混ぜて中和するのもいい。
できれば噴霧器は別で用意した方がいい。

落葉樹には10-20倍、常緑樹には30-40倍にする。まあ、100倍まで薄めれば薬害は出ない。
マシン油も同様。
住友化学園芸 オルトラン粒剤 アセフェート
5.0%
普通物 有機リン系 1-2g/鉢 3月上旬、11月 持続性のあるこの薬剤を春先と収穫の終わった頃に予防のためまく。
播種時の予防にも向いている。
粒剤散布のケースを再利用してさっとまけるのでマラソン同様クイックタイプとして利用できる。
アリスタ
ライフサイエンス
オルトラン水和剤 アセフェート 50.0% 普通物 有機リン系     野菜向け。比較的安価で適用対象も多い。
住友化学園芸 スミチオン乳剤

MEP

普通物 有機リン系 2000倍     収穫の21日まで 薄めに希釈して使用してみたが特に問題はない。カイガラムシ以外の害虫には有効だろう。
収穫の約1ヶ月以内なら散布しないようにする。
モモ5-6月は薬害が出る。早春・秋でスミチオンを使用する。

元々安い薬品だが他社品でさらに安いものがある。検討すべき。
住化タケダ園芸 マラソン乳剤 マラソン 普通物 有機リン系 2000倍   収穫の14日まで 効き目が弱い場合があるかもしれないが薬害が少なく収穫までの期間が短いのがいい。
比較的劣化しにくいのか希釈してハンドスプレーに作り置きでき、ちょっと散布なんかも可。
元々安い薬品だが他社品でさらに安いものがある。検討すべき。
日本曹達 ホスビット乳剤
(DDVP乳剤)
DDVP
50.0%
劇物 有機リン系 2000倍       ぶどうでも収穫3日前まででいいなど収穫間際の散布が可能。マラソンよりも短い。
75に比べ濃度が薄く、そのため適用対象も多く、使いやすい。
リンゴだけは落花直後から6月中・下旬までは、落果・落葉の薬害を生ずることがあるので注意
安いこともあり採用する価値有りがけっこう危険な薬剤らしい。
ガス効果で直接かからない場合でも効果が期待できる。
住友化学園芸 ベンレート水和剤

ベノミル

普通物   2000倍     収穫の
7-14日まで
1袋0.5gを2Lの水で希釈するとこの濃度になる。殺菌用途のメインとして使用してみようと思う。
殺菌系は出てからでは遅い。予防ということを常に心がけるべきである。年3回までの使用にとどめる。
ぶどうだけは収穫までの日数が60日と長いため、散布時期をよく考える必要がある。
2000倍でスプレーで適当に散布してみたが特に問題はなさそうだ。
住友化学園芸 オーソサイド水和剤80 キャプタン
80.0%
普通物   1000倍     収穫の21日まで 適用が多く、収穫時期までの期間が短いためベンレートより使いやすいかもしれない。
計量がきちんとできるようになったら採用を検討する。
メーカーは他にもあるので安いものを選択する。
住友化学園芸 トップジンMペースト

チオファネートメチル

普通物           これは定期散布するものではないがここに記載した。
剪定後の枝の切り口に塗布する。殺菌剤と接着剤が含まれていて切り口を保護する。
  日本曹達 ベルクートフロアブル イミノクタジン
アルベシル酸塩
30.0%
普通物   2000倍       ぶどうへの適用が無いようだが他の果樹では収穫に近くても散布できる。
病気への適用範囲もまあまあ。容量が少ないものがあれば採用価値有り。
  シンジェンタ アミスター10フロアブル アゾキシストロビン
10.0%
普通物   1000倍       果樹の適応が多く、病気に対する効果が高い。収穫までの日数が長いので
散布する時期が限定される。
日本曹達 トリフミン水和剤 トリフルミゾール
30.0%
普通物   2000倍       収穫間際まで散布できる。乳剤は果樹への適用が少ない。
  クミアイ化学 インダーフロアブル フェンブコナゾール
22.0%
劇物   10000倍     収穫の21日まで 希釈率が高い、クミアイ化学のものが100mlと小容量だ。
たぶん高い、試算だと100mlあたり2200円。うーん、希釈率を考えると安いのか?
クミアイ化学 ダコニール1000 TPN
40.0%
普通物   1000倍       うどんこ病やべと病にきく。果樹もいくつか適用があるがどちらかというと野菜向け。
野菜主体ならメインの殺菌剤としての位置づけか。
! 大塚化学 オーシャイン水和剤 オキスポコナゾール
フマル酸塩
20.0%
普通物   2000倍       まさに果樹専用の殺菌剤。収穫間際まで散布できる。
大塚化学 カリグリーン 炭酸水素カリウム 80.0% 普通物   1000倍       野菜向け殺菌剤。うどんこ病に効果が高い。
元々食品に使用される薬剤なので安心して使用できる。
  シンジェンタ スプラサイド水和剤 DMTP
(メチダチオン)
36.0%
劇物 有機リン系 2000倍     収穫の21日まで カイガラムシにも有効なのでその被害が多ければ採用すべし。
※けっこう高そう。劇物なので印鑑証明書が必要。
  シンジェンタ スプラサイド乳剤 DMTP
(メチダチオン)
40.0%
劇物 有機リン系 3000倍     収穫の21日まで カイガラムシにも有効なので殺虫系のメインとして使えそうだ が水和剤に比べ適用が狭い。
※けっこう高そう。劇物なので印鑑証明書が必要。乳剤なので多少高くても採用すべきか。
  三共アグロ ディプテレックス乳剤 DEP
(PRTR・1種 167) 50.0%
劇物   1000倍       果樹への適用範囲がわりと多 いが、モモの適用が無い。ガス効果がある。
一般的な害虫向けで駆除しにくいカイガラムシなんかには効かないようだ。
これであればスミチオン・マラソンで十分かもしれない。耐性ができる場合に採用価値がありそうだ。
日本曹達 スカウトフロアブル トラロメトリン
1.4%
劇物 ピレスロイド系 2000倍   果樹の適用が多く、モモ・ブドウなんかに使える。
収穫前間近まで使用ができるので収穫時期に近い場合の殺虫剤と使えると思う。
ネキリムシ類への効果があるようなので夏秋の使用がいいかもしれない。
日本曹達 カルホス乳剤 イソキサチオン
50.0%
劇物 有機リン系 2000倍   収穫後、秋 未使用なので薬害が出ないかチェックしておく。
ネキリムシやコガネ幼虫の駆除によさそう。こびん100mlのが買いやすい。そんなに使うわけでないからね。
果樹への適用が少ないので代替薬剤を検討すべき。
日本曹達 モスピラン水溶剤 アセタミプリド
20.0%
劇物   4000倍 収穫後、秋 果樹の適用も広く、効果の続く期間も長い。対象とする害虫も多く使い安い薬剤のようだ。
すべての収穫が終わった10月後半に散布しようと思う。※けっこう高い。
劇物なので印鑑証明書が必要。粉剤なのできちんと計量できるようになれば採用する価値有り。
  住友化学園芸 モスピラン溶剤

アセタミプリド

普通物   500倍   収穫後、秋 水溶剤に比べ希釈率が低い。たぶん成分比率が低いのだろう。
果樹の適用が少ないので使いにくいかもしれない。(同じ薬品で適用が広いものがあるのでOKかも)
三共アグロ ダイアジノン粒剤 ダイアジノン
3.0%
普通物 有機リン系 1-2g/鉢     11月 ネキリムシやコガネ幼虫の駆除に用いる。鉢植えでは株元に撒くだけで土壌に混和することが
できないため果樹には効果が期待できないかもしれない。
植え付けまもないものには良くない。アセロラには使用しない。
買ってみたものの果樹には使用しないかも、畑の野菜向けかなあ。
  三共アグロ ランネート45DF メソミル
45.0%
劇物 有機リン系 1000-
2000倍
      野菜向け殺虫剤。ガス効果で殺虫を行うので吸うとけっこう危険
! 日本曹達 ニッソラン水和剤 ヘキシチアゾクス
10.0%
普通物   2000-
3000倍
      ダニ向け殺虫剤。わりと適用範囲は広い。
レモンに赤いダニが付くんだがスミチオンやマラソンも効かない様子なので
専用の薬をつかってみるのもいいかもしれない。
日本曹達 コテツフロアブル クロルフェナピル
 10.0%
劇物   2000-
4000倍
      これもダニに効くらしい。けど、殺ダニ剤はどれも高いみたいだ。
果樹への適応が多い。
    マシン油乳剤   普通物   20倍     冬期 (1〜2月) これはまだ購入していない。これも未使用なので薬害が出ないかチェックしておく。
カイガラムシ専用なので被害状況をみて、導入するかどうか決めたいと思う。
たいして高くないが希釈率が低い。95%と97%のものがあり、後者の方が効果が高い。
散布時期は石灰硫黄合剤と同じで休眠期。ただし、マシン油ははじくので石灰硫黄合剤を先に撒く。
シンジェンタ アファーム乳剤 エマメクチン
安息香酸塩
1.0%
普通物           みかんや野菜向け。とうもろこしでオオタバコガ・ヨトウムシに効く。
 

年度別消毒作業計画

予定 評価
2007

初年度、植え付けの年で収穫も無いし、植え付けたばかりなので
農薬散布はかなり控えめに。
薬品の情報を収集し、初版としての防除歴を完成させる。
植物固体による差があるとは思うが、購入した薬品の散布実験を行い
その評価を行いたい。

10月・・・ベンレート水和剤のテスト、2000倍にてまずはアロニアとボケに散布
10月・・・オルトラン粒剤のテスト
10月・・・カルホス乳剤のテスト、2000-2500倍程度にスプレーに入れ、まずはアロニアとボケに散布
11月・・・石灰硫黄合剤のテスト、10倍にてボケや葉が残っている草木に散布

・ベンレート 水和剤では特に問題が発生しなかったが、薬剤の効果が確認できなかった。
・スミチオン乳剤の効果は確認できた。特に薬害はなかった。
・マラソン乳剤の効果は確認できた。特に薬害はなかった。ただ、効果の持続性にはとぼしく
 薬剤に接触していないと効果が無い模様。
・オルトラン粒剤はそこそこ効果を発揮しているもよう。粒剤であるため予防に使用したい。

2008

年明けも農薬散布は控えめに。石灰硫黄合剤は撒かない。
ベンレート以外の殺菌剤を調査・検討を行う。

春(3月あたり)から防除歴に基づき散布を行う。

持続性やガス効果のある薬剤や殺菌剤を検討のうえ、導入してみたい。

3月から4月上旬までに計画があるが、特に虫がつくという気配はなかったため、一部割愛した。

 
散布液の調製方法について
液体の乳剤・液剤はスポイトを使ってmlを基準に希釈する。スポイトだとわりと安く入手でき、細かい単位でも計りやすい。
粉の水溶剤では細かい単位を計るのが難しく、正確に行うには電子天秤などを使ってgを計る。
0.01まで計れれば誤差はほとんど無いが、0.1だとけっこう誤差が出るのでその場合は誤差を見込んだ希釈率を考える。
(求める量:g、ml) = 1000 ÷ (希釈倍数) × (希釈する水量:リットル)

 (求める量:g、ml) = 1000 ÷ x

量   (g、ml) 希釈倍数  (倍)

25

50 100 250 500 750 1,000 1,500 2,000 3,000 4,000
希釈水量 1L 40 20 10 4 2 1.3 1 0.6 0.5 0.3 0.2
2L 80 40 20 8 4 2.6 2 1.2 1 0.6 0.4
3L 120 60 30 12 6 3.9 3 1.8 1.5 0.9 0.6
4L 160 80 40 16 8 5.2 4 2.4 2 1.2 0.8
5L 200 100 50 20 10 6.6 5 3.3 2.5 1.6 1.2
6L 240 120 60 24 12 7.8 6 3.6 3 1.8 1.2
7L 280 140 70 28 14 9.1 7 4.2 3.5 2.1 1.4
8L 320 160 80 32 16 10.4 8 4.8 4 2.4 1.6
9L 360 180 90 36 18 11.7 9 5.4 4.5 2.7 1.8
10L 400 200 100 40 20 13.3 10 6.6 5 3.3 2.5
50L 2,000 1,000 500 200 100 66.6 50 33.3 25 16.6 12.5
100L 4,000 2,000 1,000 400 200 133.3 100 66.6 50 33.3 25
250L 10,000 5,000 2,500 1,000 500 333.3 250 166.6 125 83.3 62.5
500L 20,000 10,000 5,000 2,000 1,000 666.6 500 333.3 250 166.6 125
750L 30,000 15,000 7,500 3,000 1,500 1,000 750 500 375 250 187.5
1,000L 40,000 20,000 10,000 4,000 2,000 1,333.30 1,000 666.6 500 333.3 250